

家と土地を遺贈されたAさん──
それでも国庫帰属制度が使えなかった理由
こんにちは。
行政書士・土地家屋調査士の牧田一秀です。
今回は、実際の相談をもとに
「なぜ相続人以外への遺贈は制度の対象外なのか?」
という点をお話しします。
■ 相談内容の概要
Aさん(60代男性)は、かつてとてもお世話になった恩人から、
家と土地を「遺贈」で受け取りました。
遺贈を受けたあと、しばらくのあいだ Aさんはその家に住んでいましたが、
仕事の都合で引っ越し、空き家の状態に。
売却も試みたものの買い手は見つからず、
管理にも困り、最終的に国庫帰属制度について相談されました。
しかし Aさんの場合、この制度は利用できませんでした。
■ 「どうして相続人以外の遺贈はダメなの?」
理由はとてもシンプルです。
相続人以外の遺贈は “自分の意思で受け取るもの” とされるため。
制度の対象となるのは次の2つだけです。
・相続で取得した人
・相続人への遺贈で取得した人
つまり、
相続人以外への遺贈 → 対象外
その理由は、
欲しくなければ遺贈の放棄ができるため、
本人が自分の意思で「受け取る」と選んだと判断される。
一方で相続人への遺贈は、
たとえ遺贈を放棄したとしても、相続人である以上、
“やむなく取得してしまうケース”となってしまい、
制度の趣旨(やむなく所有した土地の整理)と一致します。
■ Aさんの場合
Aさんは恩人との関係性は深かったものの、
法律上は 相続人ではなかった ため、制度の対象外となります。
遺贈は「自分の意思で受け取った」と見なされる
遺贈を放棄することもできた
よって制度の趣旨に当てはまらない
これが理由です。
■ まとめ:制度は“やむなく所有した土地”のためのもの
相続土地国庫帰属制度は、
本人の意思とは関係なく土地を持つことになった人を救う制度
という目的があります。
そのため、Aさんのように善意で遺贈を受けたケースは
制度の対象とはならないのです。